2020年代において、美容師アシスタントがスタイリストデビューをするまでに平均で2年以内となっています。
弊社においても2年でスタイリストデビューするためのカリキュラムを組んでいます。
今回は弊社で行っているアシスタントの練習カリキュラムをご紹介していきます。
前提:サロンによってカリキュラムは全くといっていいほど違うと思います。弊社では基本に忠実に、一生美容師として楽しんでもらえるように流行関係なく対応できるような技術を覚えてもらっています。
また、練習会は水曜〜土曜の週4日間、朝8時15分〜9時半で、週に5時間の時間を設けていて、それ以上の練習は個人の判断に任せています。
2年以内のスタイリストデビューにおいてどのようなレベルでデビューするかは考えかた次第です。
さまざまなやりかたや考えかたがあると思いますが、参考の一つにしていただければ幸いです。
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる
①シャンプー&ヘッドスパ
入社後に最初に覚えていただくのがシャンプーで、約1ヶ月ほどかけて習得していきます。
弊社では、バックシャンプーといわれる機種で、後ろに立ってシャンプーをするタイプです。サイドシャンプーといわれる横に立ってするシャンプーよりは比較的覚えやすくなっています。
・炭酸スパ&マーブマイクロバブル
・ヘッドスパ
ワンシャンプー
シャンプーの基本となる技術です。
最初に覚える技術ですが、私の経験上、シャンプーで指名をもらえるアシスタントは、スタイリストになってから人気がでるヒトが多い印象です。
初めてお客様に触れる技術になりますので、褒められる機会が多いとお客様に覚えてもらいやすいだけでなく、後の技術などスタイリストに任せてもらいやすくなるので、しっかり覚えましょう。
合わせて読みたい:美容師アシスタント必見!失敗しないシャンプーのコツ6選
炭酸スパ&マーブ
血行促進や汚れを細部にわたって落とせる特殊な気泡のシャンプー機です。
ヘッドスパ
30分のヘッドマッサージです。
シャンプー同様お客様に人気の技術になります。特にヘッドスパの指名はアシスタントの直接的な売上になりやすい技術なので心を込めて施術できるようしっかり練習が必要な技術です。
②薬剤塗布
カラーやストレートパーマなどの薬剤を塗布する技術です。1ヶ月〜2ヶ月弱の練習期間です。
・リタッチ
・中間2タッチ
・0タッチ
2タッチ
根本と毛先を2回に分けて塗る技法です。
主にハイトーンのカラーやストレートの1剤の塗布に使用します。
なぜ分けるかというと、根本は地肌の熱があり、1度に根本から塗ってしまうと根元のほうだけ薬が過剰に反応するためです。ハイトーンのカラーであれば、根本だけがキンキンに明るく、ストレートであれば根元が断毛するのを防ぐためです。
リタッチ
根本1〜2cmだけを塗る技法です。
主に白髪染めを毎月染めるかたに適用されたり、ファッションカラーでも毛先のダメージを気にしているかたは根元だけ染めるかたもいらっしゃいます。
白髪染めとファッションカラーのリタッチは塗り方が違いますので、それぞれ覚えていただいています。
中間2タッチ
新生部が10cm以上のびている場合に根元と既染部(既染部とは、すでに染まっている部分を指します)の境目までの中間部分を塗布する技術です。
主にトーンの高いカラーや縮毛矯正のリタッチなどに使われます。
0タッチ
地肌につかないようギリギリから塗る技術です。マニキュアや地肌が弱い人などに使用する技術です。
昨今、カラー剤などがあまり体によくないというニュースなどが飛び交っていて、アレルギー体質のかたが多いので、0タッチ技術を身につけるとワンランク上の技術を提供することができ、お客様に差別化することができます。
ブリーチもこの技術を使うことが多いです。
③ワインディング
ロッドを巻く技術です。習得に約2ヶ月ほどかかります。
パーマの種類によって巻きかたが違います。
・豆ロッド
・縦巻き
・スパイラル
・中間巻き
・ツイスト
・波巻き
パーパス
ワインディングの基礎になります。
シェイプ、角度などを覚えるのに最適で、これができないとカットの技術に影響が出るほど大切な技術です。
豆ロッド
パーパスよりさらに小さいロッドです。7mm 以下のロッドで巻く、超細かい技術になります。
縦巻き
パーパスに次ぐ基礎で大切な技術です。基本の角度を縦にしたバージョンです。
スパイラル
螺旋状に巻く技術になります。
コテで巻く時もよく使う技術で、仕上げの技術向上にも繋がります。
中間巻き
毛先から巻くのとは違って中間から巻き始める技術です。中間巻きもコテ仕上げの時によく使う技術です。
ツイスト
ねじってかけるパーマです。メンズに特に人気のパーマで、2023年現在においてツイストスパイラルパーマで流行しています。
波巻き
ロッドを2〜3本使ってかける特殊パーマです。
④ブロー&アイロン
ブローは昨今のアシスタントにはとても難しい技術になります。習得には個人差がとてもあり、平均で約5ヶ月程度かかる技術です。
理由は、アイロン仕上げが主流の時代なので、ブローをあまり必要としないからです。
ですが、弊社ではブローをとても大切に考えています。
ブローを知る=髪の特性を理解することにつながるからです。
クセを伸ばしてカールをつける、根元の立ち上がりをつけるという技術はブローを理解しないとできません。お客様も全てのかたがアイロンを上手に使えるわけではありません。
プロとしてお客様にご自宅での再現性の高いスタイルをご提供するにはとても大切な技術になります。
・クセ毛伸ばし(ロールブラシの使い方)
・ロングレイヤーブロー
・ショートブロー
・縦巻き(コテ)
・波巻き
・外はね
ワンレンストレート
デンマンブラシを使ってブローをします。「根起こし」という技術を使って根元を伸ばす技術です。
この根起こしができないと全てのブローはできません。
参照記事:美容師の難関⁉失敗しないブローのコツ4選
クセ毛伸ばし
根起こしと毛先の艶をロールブラシを使ってブローします。クセを伸ばすというブローの基礎です。
ロングレイヤーブロー
小さいロールブラシを使ってクセを伸ばしながらカールを作っていきます。
私が指導してきた歴代のかたたちで、このロングレイヤーブローが1番の難関といえるでしょう。
習得期間に個人差がでやすい技術で2ヶ月程度で身につける人もいれば、半年以上かかる人もいます。
ショートブロー
ロングレイヤーのさらに小さいロールブラシを使った応用です。
コテ巻き
ブローをしっかりした上で行います。ワインディングでやった技術の応用です。
⑤カット
いよいよスタイリストに向けての最終項目になります。
だいたいカットのレッスンに入るまでで、はやいかただと入社して半年から10ヶ月。
平均的には1年くらいです。
カットの基礎は3ヶ月〜6ヶ月ほどかけてレッスンしていきます。
・グラデーション
・グラデーション応用
・レイヤー
・ショートレイヤー
・刈り上げ
ワンレン
同一線上にまっすぐカットする技法で、カットの基本となるまっすぐ切る技術になります。
ワンレンといっても、指ではさんで切るオーソドックススタイルから、コームでおさえて切る方法や、フリーハンドで切りっぱなしワンレンなど応用もさまざまです。
グラデーション(応用)
45度の角度をつけた段カット。ショートやボブに使われる技術で、横スライス、縦スライス、バイアス(斜め)など切り方も応用含めさまざまです。また、前下がりやマッシュなどもグラデーションに含まれます。
レイヤー
ロングやウルフなど、ミディアム〜ロングの段カットスタイルです。
スライスは縦にとることが多く、毛先を軽く見せるには大切な技術です。
また、日本人の似合わせカットとしてフェイスラインのレイヤーはとても重要な技術といえます。いわゆる「小顔カット」です。
カットは小顔の見せることが命になりますのでしっかり覚えたい技術がレイヤーカットなのです。
ショートレイヤー&刈り上げ
主にメンズスタイルです。ソギなどの質感調整もここで学びます。
基礎としては、刈り上げはバリカンとハサミのみの両方やっていきます。バリカンのみで刈り上げを覚えてしまうと、バリカンが壊れた時に対応できません。
また、ハサミで刈り上げができると開閉がとても上手になります。
ちなみにフェードカットはバリカンでないとできません。そちらも練習します。
⑥モデル
スタイリストに向けて最終項目の応用です。
弊社ではモデルを10名以上は必須で、うち友達を7名以下としています。理由は実際のモデルは技術も大切ですが、カウンセリングを覚えてもらうための機会だと考えているからです。
参照記事:失敗しない美容師のカウンセリングの種類・役割とスキルを高めるコツ
実際はしっかりデビューするまでには30名ほどモデルをこなすケースがほとんどです。
また、モデルはミニモなどで集めています。無料で施術すれば意外と集まります。
モデルをこなしていて、10名をこえたあたりから、自分の得意な分野などが出てきます。弊社で多いのが、メンズが得意になるケースです。
メンズのスタイルが得意になった場合や、カラーが得意などがあれば、まずは得意分野から実際の営業にてデビューとなり、自信のない分野は引き続きモデルを募集して練習していく形です。
この時点で約2年というのが弊社の平均スタイリストデビューのタイミングとなります。
カラーやパーマの薬剤系
カラーやパーマなどの薬剤系の知識は、モデルを通して学んでいきますが、アシスタント時代において営業でスタイリストのヘルプを通じて学んでいくことが大切です。
参照記事:美容師アシスタントがスタイリストのヘルプに入る時に心がけるべきこと
営業時間はアシスタントにとっては情報の宝庫です。
スタイリストと一緒にカラーに入る際に、お客様の希望の色や悩み、スタイリストが選ぶ薬剤と塗り方などを必ずチェックし、良いなと思ったものをノートにメモしておくと、いざ自分がモデルや入客の際に非常に役にたつことでしょう。
お客様の髪の状態によって薬剤の反応は変わるのですが、感覚的になれるまで相当な時間がかかります。私の感覚的に、1,000人担当してやっと慣れるころですので、これをスタイリストになってから覚えるには時間がかかりすぎてしまうのです。
アシスタントのころから営業を通じて学ぶことが効率よく薬剤知識がつくコツだと言えるでしょう。
⑦セット&アップ
セットやアップはある程度カットなどのレギュラーメニューをできるようになってから行います。
アップの種類はストレートアップ(日本髪)、夜会巻、ツイスト、ピン留め、逆毛など、基本を習っていただき、くるリンパなどの応用をやりながらデザインを学んでいただきます。
レギュラーメニューに比べてたくさんの需要があるわけではありませんが、成人式をはじめ、結婚式などの参列のお客様からのご要望はあります。
昨今、アップをやっていない美容室が増えてきている印象で、成人式などは毎年多数ご予約をいただいています。
美容師としてはなくても売上は上がりますが、覚えておくととても良いと思います。
まとめ
美容のニーズは流行があります。
弊社の技術は流行のみならず、、普遍的なスタイルをあえて練習しています。
美容の流行というのはおよそ12年で一周しています。私が美容師を20年以上続けてこれたのは普遍的な技術を身につけたからだと確信しています。
弊社で美容師を目指すなら、私は長く美容師を楽しんでほしい、という願いがあります。
これを読んでいただいた皆様にも、ぜひ美容師を長く楽しんでいただけたら幸いです^ ^
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