美容師は売上で評価がきまります。
さまざまな給与形態のサロンがあると思いますが、売上が高いほど給与が高いのは大体のサロンが同じでしょう。
美容師で数字(売上)の意識が苦手な人もいます。美容師は職人気質が多く、デザイナーの側面があるからです。
良いデザインを作りお客様が気に入れば売上は後からついてくる、そのように考える美容師も多いと思いますが、売上を高くする意識を持つことによってテクニックが発生します。
基本的には多くの美容師がお客様が喜んでくださることを意識していると思いますが、数字をコントロールすることができれば評価も変わってくるでしょう。
美容師歴20年以上の私が売上を上げるために意識していることをまとめてみました。
少しでも売上を高くしたいと思っている方は参考にしてみてください。
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる
売上=客数と客単価
美容師の売上の構成は、
1 客数×単価=技術売り上げ
2 店販
これらの数値で表します。
考え方としては、低単価で客数を取っていく戦略の場合求められるのは施術の時間です。
美容師の生産性として理想は家賃にもよりますが1時間6,000円。
1,000円カットなら10分で1人カット、1時間で6人カットするイメージです。
単価を高くしていく場合はカット代4,000円なら40分で1名、カットカラー12,000円なら2時間で1名のイメージです。
戦略としてどちらも良さはあると思います。
客数を集める場合、個人のお客様に依存しないので、1人のお客様が来なくなってもリカバリーしやすくなります。
高単価を狙う場合、少ない客数で売上を上げていくので、お客様との関係性が深くなっていくでしょう。
どちらを選択するかは個人のタイプにもよりますが、美容師として自己ブランディングをしていきたい場合は高単価を狙うのがおすすめです。
私のサロンは、同地域に2店舗あり、スタイリストデビュー時は地域相場よりお得なプライス設定で集客に力を入れているサロンで経験を積み、結果が出てきたら高単価の別サロンに移る戦略を取っています。
今回の売上を上げる方法は、高単価を目指す場合の方法の解説です。
①カウンセリングを重視する
高単価を目指すなら、指名売上を上げるのが効果的です。なぜなら指名のお客様は美容師を信頼してくださってるお客様が多く、提案を受け入れていただける確率が上がるからです。
単価を上げるには、技術は当たり前にできるとして、カウンセリング・提案が重要です。
プレカウンセリング
プレカウンセリング(事前のカウンセリング)では、お客様の要望をききだし、過去の履歴や髪の状態を把握して共有します。
その際に大切なのが、お客様の意向と把握している髪の状態と、美容師の見解になるべくズレがないようにすることです。
私が意識していることは、プレカウンセリングでお客様と共有した仕上がりよりプラスして良いものをご提供できるかです。
お客様の想像を上回る仕上がりをご提供できればお客様の感動を呼ぶことができます。
注意点としては、お客様の髪の状態が悪いようであれば過度に期待を持たせることをあえて言わないようにします。
プレカウンセリングにてあまりハードルをあげすぎないようにすることもコツです。
このとき、自身の第一印象もとても大切です。
清潔感のある格好、かっこいい髪型、可愛い・キレイな雰囲気など、お客様から素敵だな、と思われればカウンセリングもスムーズに進めやすくなります。
美容師は自分のオシャレや美容に気をつけることは大事です。思ったようにお客様が話してくれないな、ということがある場合、第一印象が悪いことが理由の1つとしてあります。
そこから信頼を獲得するのはかなり大変なので、普段から自分の身なりは気をつけるようにしましょう。
オンカウンセリング
オンカウンセリング(施術中の会話)では、主に髪の会話を中心に進めます。
何度もご指名をいただいているお客様でない限り、いきなりプライベートな質問をぶつけたりはしません。(お客様から言っていただいた場合はのぞきます)
また、プレカウンセリングの時にも書きましたが、第一印象が良い美容師はプライベートな質問もOKな場合があります。
あくまでも第一印象が良いというのは保険として書きますが、オンカウンセリングでは今日の仕上がりから、次回以降の提案を織り交ぜたお話ができると良いでしょう。
ここが単価を上げる大きなポイントです。
お客様が興味のありそうな提案というのが前提ですが、理想のヘアスタイルや挑戦してみたいヘアスタイルを聞き出すことができれば、そのスタイルは私生活(仕事や学校など)で可能かを聞き出してみると良いでしょう。
詳しい仕事内容などお話ししてくださればお客様が心を開いてくださっていることになります。
アフターカウンセリング
アフターカウンセリングでは、スタイリング方法やホームケアのご説明を中心に行います。
美容室にきた時だけスタイルが良い状態では意味がありませんので、いかにお客様がご自宅でも同じ仕上がりを再現できるかが大切です。ダメージケアなどのご案内もこの時にします。
注意点は最初のプレカウンセリングにて、元々のダメージと施術によるダメージの違いをご理解をいただけてない場合、今日の施術で痛んだのかな?と思われてしまい、そうなると美容師のせいになってしまいます。
プレカウンセリングとオンカウンセリングとの一貫性を持ってトータルのカウンセリングを行ってください。言ってることが次第に変わっていくカウンセリングは避けましょう。
②カルテを大切にする
カルテ情報は美容師の財産と言っても過言ではありません。単価戦略をとっていくサロンにとって重要なツールです。
カルテに記載する主なポイントは4つです。
施術の詳しい情報
カラーなら、ただどの薬剤を使ったかだけではなく、どうやって塗ったか、放置タイム、使用グラム数、実際の仕上がりがどうだったかなど。
いつもと同じなら省略してもいいと思いますが、なるべく詳細に記入するのが望ましいです。
当社では電子カルテを使用していますが、写真情報を載せられる電子カルテなのでビフォーアフターの写真を載せています。
これはお客様にもご好評いただいていて、次回ご来店のキッカケになるのでおすすめです。
お客様の情報
お客様の仕事内容や学校のこと、それによる髪型の制約があるか。
髪のダメージ具合などの詳細情報、頭皮が沁みるのかなど。
次にご来店いただいた時に忘れずにいることも大切ですが、頭皮が沁みるなどお客様が美容室の施術において恐怖心がある物に関しては「カルテに記録を残しておきますね」と、私はお客様にお伝えするようにしています。
そうすることで安心感が出るとともに次回きた時に同じことを言わなくて良いという面倒を省略できるので、再来率を上げるポイントにもなります。
今後の提案内容
美容師が売り上げを上げるために(指名をつける)次回以降の提案は必要です。
当社では再来率(6ヶ月以内)の数字を出していますが、再来率の低い原因は美容師がイヤだからという理由よりも「忘れてる」ことが考えられます。
お客様にとっては、前回担当した美容師のことを忘れてしまっていて、他のサロンを探しているのがほとんどです。
印象を残すためにも次回以降の提案は必ず行わなければいけません。その提案内容も細かくカルテに記載しておく必要があります。
特に自分がお客様に「頭の形がこうだからこうしたら似合いそうですね」など提案したことを詳細に記載するようにしてみてください。
この提案内容を次回ご来店された時に違う言い方をすると信頼を失います。
私は昔、お客様に提案した内容をカルテに記載しておらず、次のご来店の時のプレカウンセリングにて「前回提案してくれたスタイルに挑戦したくてお願いしました」と言われたのですが、あろうことかそのスタイルを忘れる失態を犯してしまい、お客様に大変失礼なことをしてしまった経験があります。
記憶しておくのももちろん大切ですが、月に200人、300人担当していると全部覚えておくというのも限界があります。
お客様のご自宅でのケア方法
お客様がご自宅でのケア方法として行っていることを記載します。
使っているシャンプー、ケア用品、ドライヤーなど何を使用しているか、ドライヤーのかけ方などどうしてるのかなど。それを基にご提案した内容など記載しましょう。
これは店販に繋がります。
③店販を強化する
店販が得意な美容師もいますが、苦手な人が多い印象です。
当社のおよそ30名いる美容師の売上ランキングにおいて、月に店販売り上げ10万円以上あげている人はほぼいません。ちなみに私は平均で毎月20万以上販売しています。
物を売ることを苦手とする美容師は「罪悪感」が要因の1つでしょう。
洋服屋さんなどで店員さんに声をかけられるのがイヤだと感じる人も多いかと思います。
その場合、売りつけられると感じるからだと思いますが、その感覚と同じで美容室の店販も「売りつけられる感」を与えてしまうのではないか?と美容師が思い込んでるケースがあります。
自分がされたら嫌なことは人にしないという思いから、なかなか店販に踏み出せない、という美容師も多いのではないでしょうか。
そのような場合、視点を変えてみましょう。それはお客様の髪の状態を次のご来店まで責任を持つということです。
お客様が美容室にご来店する周期は早くても1ヶ月程度です。
1年365日のうち、来店した12日しかお客様の髪が綺麗な状態がないのは悲しくないですか?
担当のお客様の髪がいつでも美しく、カッコよくいて欲しいですよね?そのためには良いホームケア剤が必要です。
お客様の髪が常に綺麗な状態でいられればお友達などにも褒められることも増えるでしょう。
そうなればお客様も褒められるたび思い出してくれるきっかけにもなり、紹介に繋がったりすることもあるでしょう。
そのような観点からも店販はとても大切なのです。
美容室で販売している商品と、ドラッグストアの商品は何が違うのか。それは価格と中身の性質です。
美容室の商品はドラッグストアの商品より比較的高いものが多いですが、美容室のシャンプーは芸能人の方とタイアップしたりTVCMは放映しているものが少ないのに対し、ドラッグストアのシャンプーはTVCMしたり芸能人が宣伝しているものもあります。
商品の宣伝費を多くかけているのに美容室のシャンプーの方が高いのはおかしいですよね?
これは美容室のシャンプーの方が中身の成分がいい証拠でもあります。
量販店に置かれているシャンプーは大衆ウケする商品が多いのに対して、美容室のシャンプーは目的が明確です。
美容室の商品は、美容師がお客様の髪を問診し、コンディションを正しく判断することによりオススメでき、美容師が販売するもの、つまり美容師が宣伝広告になる商品です。
ですが美容室の商品も有名スーパーや楽天などのネットなどに流通しているものもあり、美容師がオススメしてもお客様が他で買うという現象も多々見られます。
そのような場合は美容室の契約専売商品を集めれば、サロンでの売上も上がりますし、自店にしか売ってないものであれば来店理由にもつながります。
どんな商品を扱うかも重要で、担当ディーラーさんとの関係性もとても大切になります。
ディーラーさんも当然売上が欲しいです。特に美容室の店販仕入れは大きいものです。
美容師は全般的に店販が弱いので、そこを強化して、ディーラーさんに相談すれば協力してくれます。
そして販売結果がでれば、さらに良い商品の紹介などもしてくれるでしょう。
ディーラーさんもメーカーさんも大切なパートナーですので関係性を大切にしましょう。
1番はお客様の髪が常に綺麗でいられること、将来の髪も良い状態でいていただくこと。
このようなことを本気で追及すれば間違いなく美容室での店販は欠かせません。
大切なお客様のためにもぜひ店販に取り組んでみてください。
④SNS等の発信力をつける
集客において2023年現在はホットペッパーが1番の方法ですが、個人で自己発信するならSNSも有効手段です。
SNSを強化すると、自分が担当したいお客様を集めることができます。単価の高い仕事を目指すなら、デザインの強化は必要です。
自分がどんなデザインが好きなのか、何の技術が好きで興味があるのかは美容師によって違うでしょう。
所属する美容室が自分の好きなデザインをコンセプトにしていないなら自分で発信をすることにより、ピンポイントで集客するのは可能です。
インスタやミニモなど、個人のメディアで集客したお客様は投稿に共感してくださった方がご来店するケースがほとんどです。
インスタで自分の得意なヘアーデザインを投稿し、いいなと思ってきてくださればオーダーがそのようなデザインから選んでいただけます。そうなればカウンセリングがとてもスムーズに行きます。
SNSは様々なテクニックが存在し、数々の美容師もすでに発信しています。その中からお客様に見つけていただくには相当大変なことです。
どうしても素人がやるには知識などが追いつかず、本気で集客するには相当大変です。
身近な美容師さんなどや違う業種でフォロワー1万以上いる人など結果を出している人に相談してみましょう。
SNSのコンサルティングや投稿代行なども活用して良いかと私は思います。
費用も多額になるので個人でやるには投資額としては少し大きめです。オーナーにその旨相談をし、インスタやTikTokを伸ばしたい理由をしっかり説明できるようにしましょう。
個人集客はオーナーによっては良い悪いもあるので、あくまでも会社のためにと思って提案してみてください。
SNS集客も大切なスキルですので、私はとても大切だと思っています。
もしOKしてくれるなら、会社のお金を使わせていただくわけですから、しっかり会社に恩返ししてくださいね。
やはり美容師は現場の仕事に集中すべきです。
やるべきことは、自分の作ったヘアデザインを自分のスマホに撮り溜めておくこと。
お客様にお願いして可能な方は全て撮っておきましょう。
また、写真の質も重要です。
スマホが最新でない方は自己投資だと思い、なるべく新しいスマホにしておくことがオススメです。
一眼レフカメラもオススメですが、スマホでも充分綺麗な写真は取れます。
単価の高い売り上げを目指す方は実践してみてください。
まとめ
美容師の売り上げを上げる方法は単価の高い仕事か、低いかによって戦略がさまざまです。個人的には単価の高い方法がオススメです。
理由は少ないお客様数で売上を上げられれば、働く時間やお休みをある程度自由に設定できるからです。単価の高いお客様はその美容師に担当してもらいたい理由があります。
ですので他店への浮気はほぼしません。
誰が切っても同じで自分の都合で髪を切りたいというお客様は今空いていて、同じメニューでも安そうな美容室を探すでしょう。
年齢とともに体力が落ちてくる時に客数をこなし続けるのしんどいのではないでしょうか。
ぜひ美容師としての価値を上げられるよう、若いうちからできることは頑張ってみてください。
求人に関してのお問い合わせはLINEよりお気軽にお待ちしております^^