美容師にとってカウンセリングはお客様との信頼関係をうみだすとても大切な技術です。
ご新規やフリーのお客様は初めて担当してもらう美容師には一定の不安はかならずあるもので、それを払拭するにはカウンセリングがとても重要です。
私はカウンセリングを「プレカウンセリング」「オンカウンセリング」「アフターカウンセリング」と3つにわけて考えています。
それぞれの役割とポイントを詳しく解説していきます。
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる
カウンセリングの重要性
カウンセリングは美容師にとって、自分をお客様にアピールするチャンスです。
お客様は初めましての美容師にはかならず不安があります。
・どんな美容師さんかな?
・自分のことちゃんと理解してくれるかな?
・自分のオーダーはちゃんと伝わるかな?
・自分に似合うスタイルって何かな?
・自宅で美容師さんがやるようなスタイリングを再現できるかな?
これらがお客様が抱く不安の一覧です。
カウンセリングとはお客様の不安を取り除く技術です。
カウンセリングが上手にできないと次回のご指名をいただける確率が下がります。
SNSなどでお客様もさまざまな情報をお持ちです。たくさんある情報のなかからお客様にとってあっているものをプロとして判断し、過去の髪の履歴を引き出すのがカウンセリングなのです。
お客様がなりたい理想と、お客様の髪質や素材のギャップをうめていくのが美容師の役割と言えるでしょう。
カウンセリングの種類は3つ
冒頭でも記述しましたが、カウンセリングは3つにわけることができます。
- プレカウンセリング:施術前のカウンセリング
- オンカウンセリング:施術中のカウンセリング
- アフターカウンセリング:仕上がり時のカウンセリング
プレカウンセリング
カウンセリングのなかでも1番大切なのがプレカウンセリングです。
カウンセリングの流れ
- 1.自己紹介
自分の名前や役職・役割などをお伝えします。このときいきなりお客様の髪に触れるのはNG。 - 2.お客様の要望&お悩みを聞く
ご要望を聞いたときに最初にお客様が言うワードと触ったところが1番解決したいポイントです。ここをベースにカウンセリングをススメていきます。仕事や学校で髪型に制限がある場合も聞いておきましょう。 - 3.ご要望にたいしてできることをご提案
お客様の髪質や頭の形などを判断し、できることとできないことを見ていきます。このときに初めてお客様の髪に触れてください。
- 4.できそうにないことや、リスクがあることはここでお伝えする
髪質や頭のかたちと要望に差異がある場合はこの時点でお伝えしましょう。施術が始まってからデメリットをお伝えすると、全て美容師の責任になります。 - 5.最終的にどのようなスタイルになるのかを共有する
写真でイメージを伝えます。なるべくできそうな現実的なスタイルの写真を探しましょう。
普段からヘアスタイルの写真の整理をしておくと便利です。
私はPinterest(ピンタレスト)というアプリでヘアスタイルを保存し、すぐ探せるようにしています。美容師としてのデザインの勉強にもなるのでオススメです。
- 6.当日の価格、所要時間のご説明
施術内容が決まったら詳しい価格とかかる時間をお伝えします。これがあるとお客様も安心して施術が受けられます。追加メニューがあったらその都度お伝えしましょう。
デメリットを伝える具体例
デメリットをお伝えするときにコンプレックスがある場合があるので要注意です。
お伝えする言い方の例↓
- 頭が大きいです(形が悪い)=頭の形的にはこちらがオススメです
大きさや形が悪いことを直接言うことは避けたほうがよいです。「〜がお似合いになりそうですね」などおすすめのご紹介をしてみましょう。 - クセがありますね=雨の日などはお困りですか?
クセ毛をコンプレックスに思っているかたは多いものです。どこの美容室でも散々「クセありますね」と言われてきているからうんざりしているはずです。
自分にはクセがない、と思っているお客様もいらっしゃいます。
そうなると、カットやパーマをしてまとまらなくなってしまった場合に美容師の全責任と思われてしまう可能性があります。適切にクセがあることはお客様と共有しましょう。
ここでポイントは詳しいクセの種類を判断することです。クセと言っても捻転毛や縮毛、エイジング毛など様々な種類があります。
そこで少し専門用語を入れながら詳しく解説してあげると信頼につながります。そのためには正しい知識が必要になります。
実際はやっかいなクセなのにお客様が自覚していなくて、理解してもらえないまま施術してしまうと美容師のカットの責任になってしまうケースもあるのです。
- 傷んでますね=髪の引っかかりなど気になりますか?
「傷んでる」というワードもコンプレックスに感じるかたもいらっしゃいます。クセのときと同じで質問でお客様に投げかけてみましょう。
ここも気にならないと回答された場合、傷みがあることを共有できないとそのときの担当の美容師の責任になりますので注意が必要です。
髪質や頭のかたちのデメリットはダイレクトに伝えてしまうと言われたほうはショックです。プロとして少し違う角度からお伝えし、お客様と共有、解決案までお伝えできるとパーフェクトです。
オンカウンセリングの活用法
オンカウンセリングは施術中におこなうカウンセリングです。ここではおもに途中経過の状態を説明したり、今何を行なっているかの説明を入れましょう。
お客様によっては細かい説明がいるかたと、ざっくりとした説明だけで良いかたと両方いらっしゃいますので、見極めが重要です。
細かい説明が欲しいかたは聞き返してくださいます。興味がないかたはうなずくだけでしょう。基本的にはお客様の反応を見て判断していきましょう。
仕事や学校などで髪型に制限があるかたもオンカウンセリングで深掘りしてみるとよいでしょう。
お客様のほうから「仕事が〇〇だからこの髪型できなくて、、」などの情報をいただければそこから仕事の話など深く聞いても良さそうです。
ここでいきなり髪には関係しないプライベートの話を聞きだすとよくありません。あくまでも「オンカウンセリング」という概念をもとに、髪のお話しを中心にしていくことが大切です。
(*お客様のほうからプライベートのお話をしてくださったときはあわせましょう。)
アフターカウンセリングはプレカウンセリングに関連させる
アフターカウンセリングは主にスタイリングの説明や仕上がりを確認していただきます。
ホームケアのアドバイスはオンカウンセリングのときにしていたとしても改めてお伝えするようにしていきましょう。
店販のご説明もアフターカウンセリングにておこなうと効果的です。
これらの内容がプレカウンセリングとの連動性があるととてもよいです。逆に最初のカウンセリングと全くズレてしまったら信頼を失う可能性もあります。
「ストレートパーマならブローいらないですよ」と伝えていながらブローして仕上げる。
「パーマをすればコテしなくてもいいですよ」と伝えていながら最後に巻いてくださいねと言う。
など、プレカウンセリングで言ったことと結果が違うのはNGです。
アフターカウンセリングで大切なこと
- お客様が次のご来店までできる限りよい状態でキープするにはのご提案
- 必要なホームケアなどのお話し
- 自店でお取り扱いのケア用品のご紹介
- 次の来店時期のご説明をする
美容室に来たときだけキレイでいられるのではなく、常にキレイでいられるにはどうしたらよいかをしっかり責任をとる気持ちが大切なのです。
次回提案の大切さと方法
お客様が「失客」する1番の理由は、雑誌のアンケートや広告媒体の調査によると「忘れてた」です。
これはサロン、美容師の印象が薄いということです。
めちゃくちゃ嫌だったら逆にインパクトが残りますが、意外と少ないのです。つまり、お客様にとってそこに通う理由がないのです。
そこでインパクトを残すには「提案」です。次回提案は大切なカウンセリングの一種です。
自分史上最高をひきだしてくれる美容師のところには人が集まります。
前提として「お客様の要望はしっかり聞く」「仕上がりがよく技術力がある」この2つは当たり前で、それができなければ提案は通りません。
逆にお客様の要望通りで仕上がりがよくても再来していただけないケースもあるということです。
それはなぜか?その2つがお客様にとって当然だからです。
お客様にとって美容師は髪をキレイにするプロです。悩みを解決するために美容室に行きます。そもそも自分の要望が通らないのは問題外です。
提案はプラスアルファの話です。
この流れができるようになると、格段に指名数を伸ばすことができるでしょう。
まとめ
カウンセリングの技術はお客様満足度に直結します。
お客様は伝えたいことをどのように言ったらいいかわからないことが多いのです。
美容師はお客様の言葉をヒアリングすると同時に、心理を深掘りする必要があります。どれだけ安心感を与えることができるか。
ある意味病院の先生の役割に似ている気がしています。そのために私は心理学の勉強と、人に会って話を聞き出すことを意識しています。
普段から人の話をどのようにして引き出せるか、そして会話のなかで人の心理を深掘りするクセをつけておくとカウンセリングが上達します。
お客様にとって良き髪のメンターになれるようカウンセリングを磨いてください。
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