美容師デビュースタイリストの心構え

美容師のスタイリストのデビューをして1年ほどはまだまだ経験もあさく、考え方次第では良くも悪くもなっていく段階です。

美容室によってスタイリストデビューするにあたってどのようなカリキュラムで、どのような実力でデビューさせるかはお店の方針次第です。

今回の記事はスタイリストデビューするにあたってどのような心構えでいくべきか、当店の事例をふまえて記事にさせていただきました。

-至田 健三(しだ けんぞう)-
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる

 

スタイリストデビューはゴールではなくスタート

スタイリストのデビューは決してゴールではありません。

むしろ、アシスタントのころはスタートもしていない充電期間と考えるようにしましょう。

「目標は高ければ高い方がよい」というのは本当で、アシスタント時代にスタイリストになるのを目標にしていると、スタイリストになった自分に満足してしまって、デビューしてから情熱が失われてしまう可能性があるのです。

・スタイリストになって1年以内に指名100名つける
・スタイリストになって3年以内に管理職になる
・スタイリストになって5年以内に店長になる
・スタイリストになって7年以内に独立する
・スタイリストになって憧れの先輩のようなスタイリストになる
etc

など、スタイリストになってからの目標をアシスタント時代にある程度明確にするのがよいでしょう。また、その目標に期限をつけるのがポイントです。

人は目的や目標によって動いていく生き物です。

100万円を売り上げる目標を本気で立てている人は、100万円を上げるにはどうしたらよいかを考えます。

目標通りに100%いくわけではないですが、少なくても80万円あたりまでは大体の人はいくのではないでしょうか。

80万円が目標の人は60万円、60万円目標のひとは40万、といった感じで目標によって結果は変わってくるのです。

スタイリストデビューが目標の人は、デビューする直前であきらめてしまうかもしれません。スタイリストになってから何を目標にするのかを考えましょう。

目標を持ったら店長やオーナーと共有することで、サポートしてもらいやすくなります。

ちなみにアシスタントの人は、必ずいつまでにデビューするという期限の目標を持つようにしましょう。そうすることにより練習の取り組み方が大きく変わります。

具体的に何が変わるかというと、やれと言われてやるのではなく、自発的に練習をするようになるからです。

お客様にとって何が1番なのかを考えよう

デビューしたばかりというのはまだまだ経験が少なく、入客のたびに緊張したり不安になったりするものです。

そこでまず考えなければいけないのは、お客様にとって何が1番良いことなのか、お客様が喜んでくれるにはどうすれば良いかを1番に考えることです。

自分に自信がない、緊張するという心理マインドは、意識が自分に向いています。
失敗したらどうしよう、とかカッコ悪いところを見せられない、このようなマインドは全て自分のこと。

そうではなく、お客様に全集中することが大切で、まずはお客様のお声や要望に全力で耳をかたむけることです。
そして自分でできる限りを全力で、一生懸命に施術、接客することが大切です。

お客様は大概が経験の浅いスタイリストはそうなのかな、と気づいています。

そこで変にカッコつけたりしどろもどろになるよりも、自分のできる限りを一生懸命にやっている、真心のある施術を心がけることにより、お客様も自分のために一生懸命にやってくれているな、と思ってくださる方もいっらしゃるのです。

お客様の満足度はやってもらった施術に対して価格がどうなのかで決まります。

デビュースタイリストからトップスタイリストと同じ料金というのはなかなか難しいと思いますが(指名料など何らかで差がある)そこは焦らず経験を積んでじっくりいけば良いでしょう。

お客様のご要望を探ろう

デビュースタイリストはお客様が何を望んでいるかを探り、理解しようとすることが大切です。

・価格の希望
・サービス(接客)がよいこと
・仕上がり(技術)がよいこと
・終了時間の短縮化
・自宅での再現性
etc

お客様の要望がなにかを的確にあてることが売上という数字になる近道です。

デビューしてまもない時に、売上をコントロールすることは少々難しいと思います。

お客様に合わせた提案ができるようになると売上をコントロールすることができてきます。

お客様の信頼を得ることで、様々なスタイリストとしての戦略を練ることができるのです。

 

仕上がりと再現性の精度を高めよう

お客様の満足度で大切なのが、仕上がりと自宅での再現性。

つまりできあがったスタイルがお客様にとって満足いくもので、自宅でも簡単に美容室での仕上がりをお客様ご自身がスタイリングできるかどうかです。

お客様への提案の1つに、仕上がりを再現するための提案というものがあります。

提案といえばスタイル提案がまずは出てくるかたが多いと思います。私は主にお客様がご自宅でスタイリングしやすくするための提案を考えています。

特にスタイリストデビューまもないころはお客様の信頼を得ることが先決です。

つまりご指名をいただいてない状態でスタイル提案をするよりも、ご自宅でのスタイリングが楽になるために、お客様の髪質やスタイリング力などを見極めてデメリットなどを消すご提案がオススメです。

・クセがある方に適切な髪質改善
・カールスタイルご希望の方にオススメするパーマ
・不器用な方でも使いやすいアイロンのご紹介
・切りっぱなしボブなどウェット仕上げに最適なスタイリングオイル
etc

このように、お客様のなりたいを手助けする発想がデビュースタイリストには欠かせません。

また、デメリットを消すご提案はプレカウンセリングか、施術の序盤に行うようにしてください。

アフターカウンセリングの仕上げのときに言われてしまうとお客様からしたら「はじめに言ってよ〜」となってしまうおそれがありますので、注意してください。

自宅でも再現して欲しい心が店販につながる

店販は売りたいから売るのではありません。

お客様にご自宅でもサロンの仕上がりを少しでも長くご実感いただき、そうすることで「お客様が髪を褒められたりする機会が増えればお客様にとって幸せだ!そのためにはサロンクオリティの商品が必要なんですよ。」といった情熱、つまりお客様の幸せを願う心が店販の売上につながるのではないかと私は思います。

美容師は店販の販売があまり得意ではないヒトが多い印象で、当社グループにおいて、店販販売率が入客数にたいしておよそ1%〜3%程度しか売れてない印象ですが、私は上記のような気持ちだけで、今は店販販売率20%程度の数字になっています。

お客様の経済的事情も配慮すべきではありますが、逆に美容師が5000円のシャンプーは高すぎると思っていても、お客様にとっては高いと感じないかたもいらっしゃいます。

自分の価値観ではなく、お客様の価値観を探るようにしましょう。

合わせて読みたい:【すぐできる】美容師が店販売上をあげるコツ

次回提案は100%行おう

次回提案とは、次のご来店のときにこんなことをしてみたらどうですか?というものです。

タイミングとしては、最後の仕上げのときにスタイリングの説明のあとに提案してみるとよいです。

・伸ばしてる途中で毛先にパーマをかける
・白髪が増えてきたのでトーンをあげてハイライトを提案
・梅雨時期にさしかかるころの対策でストレートパーマ
etc

ここでポイントなのが、デメリットを消すためのご提案は次のご来店時の季節に合わせたものでしたら、アフターに行ってもよいということです。今日の施術でやった方がよいものは序盤に言い、次回やったほうがいいご提案は仕上がり後に行うとよいでしょう。

ただし、次回提案が通るのは当日の仕上がりがお客様にとってよかった場合に限ります。

お客様のご要望をくみとるカウンセリング力と、それを形にする技術力がないと話になりません。自信のないかたはとにかく練習あるのみです。

 

常に誰からも見られていることを意識しよう

アシスタントのころとは違い、スタイリストになるとさまざまな場面で責任が多くなってきます。

お客様の評判や口コミがダイレクトに評価されることが多くなるのがスタイリストの宿命です。

お客様は意外とよくみています。

施術していないときの立ち振る舞いを観察しているかたも多いもので、3回目の来店だけど今回初めての担当といった場面で、前回来たときこの人スタッフに怒ってたな、とか一緒にカラー塗ってもらったとき全然喋ってくれなかった、フロントであくびしてた人だ、などイメージがついてしまっていることがあります。

カウンセリングの第一印象から「この人は嫌だな」と思われてしまってはマイナスからスタートになってしまいます。

サロンというのは鏡があり、どこで誰にみられているか分かりません。
フロアではいつ誰にみられても良い振る舞いをしましょう。

まとめ

スタイリストまでのデビュー期間はどんどん早くなっている美容業界。

2000年代初頭の私がアシスタントをしていたころは平均で3年ほどかかっていたのが、2020年代に入ると2年以内が一般的です。

アシスタント時代が長ければよいというわけではないですが、実際に経験というのはとても重要です。

スタイリストデビューしてから、アシスタント時代には経験したことのない髪質や素材などを目の当たりにすることもあるでしょう。

ですがお客様にとってはお金を払って髪を綺麗にしにいらしているので関係ありません。

そして最初はなんといっても数をこなし、毎回反省し、カルテに記録を残し、改善し実行を繰り返す。いわゆるPDCAを繰り返し行うことが重要です。

私の経験ですが、1000人担当して少し慣れ、10000人担当して立派なスタイリストになれる感覚です。

当社では同一地域に店舗展開をし、最初は少し価格を抑えめの店舗で集客を強化したサロンで経験を積み(安すぎない程度)、そこでたくさんのお客様から指名をもらえた人が、別店舗に移り高単価のサロンで成長していく、というモデルを実践しています。

クレームをいただいたりすることもあると思いますが、必要以上に臆することなく、自分のとってのチャンスだととらえ、成長できることが立派なスタイリストに向けての試練だと思います。

そのさきの楽しい美容師ライフに向けて頑張ってくださいね^^

求人のお問い合わせはLINEでお気軽に^^

友だち追加