美容師の手荒れは予防が大きな鍵です。
美容師の仕事は手荒れがつきもので、退職理由の大きな原因の1つとされています。私もアシスタント時代はヒジまで荒れてしまっていました。
皮膚科に行っても美容師を辞めないと治らないよ、と言われステロイドを処方されるだけだったので、うんざりしていました。
そして自分なりに手荒れをする理由と防止法を考えてみました。今ではすっかり手荒れはしていません。(皮膚科のステロイドは使っていません)
よく手荒れをしていた私の経験からどのように克服したかを解説していきます。
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる
売れるスタイリストは手荒れをしない
人気のある美容師は手荒れをしていません。
人気があるのでアシスタントが付くことが多く、シャンプーをする機会が少ないのも理由ですが、人気の美容師は自分磨きにも時間とお金を投資します。
皮膚が強い人と弱い人もいるので、人気の美容師さんで手荒れしている人も中にはいると思いますが、ケアはしっかりしているでしょう。
手荒れをしない方が良い理由
皮膚が弱いとはいえ、手荒れをしないほうが得策です。なぜならお客様にとって見映えがあまり良くないからです。
もちろん好きで手荒れをする人はいません。ですが、手荒れしている状態は見た目的に綺麗ではありません。
お客様は直接言わないと思いますが良い気分ではないでしょう。綺麗な手で触ってもらえる方がやはり良いのです。
私がアシスタントの時、お風呂に浸かると温まって手が痒くなりかいてしまっていました。すると、お風呂の中にいつもボロボロむけてしまった皮が浮いていました。
それを母に気持ち悪いと言われたことが当時とてもショックでした。(ひどいことを言う母ですよね笑)
残念ながら一般的には手荒れの手はあまり綺麗とは言えません。
お客様を綺麗にするのに身の回りのものは綺麗である方が良いと言えるでしょう。
お客様から支持を得ている美容師は忙しくなり、ヘルプについてもらうことも多くなり、自分でシャンプーをする機会が減り、さらに手荒れをしなくなる好循環を作ることがポイントです。
シャンプーで手荒れするメカニズム
シャンプーは手荒れの原因No.1と言えるでしょう。
これは私の解釈ですが、皮膚の構造は内側に水分があり、それを皮膚の表面の油分で蒸発しないように守っています。
シャンプーには界面活性剤と言われる洗浄力の強いものが使われています。その界面活性剤が皮膚の油分を剥がしてしまいます。お湯も油を流してしまうのです。
油分の膜が剥がれてしまうと水分が蒸発します。そして皮膚が割れてしまったりするのです。
シャンプーの手荒れ防止法
ポンプタイプのクリームで即塗布
私が考える1番の手荒れ防止法は、シャンプーのあとにすぐクリームを塗ることです。
サロンワークは時間との戦いです。常に時間に追われているのでシャンプーのあとにクリームを塗るのを怠ってしまいがちですが、それが致命傷なのです。
どんなに忙しくてもシャンプーが終わった直後にクリームを塗りましょう。乾燥しきってからでは絶対にダメです。
営業中はタオルで手を拭く前の濡れた状態でクリームをそのまま塗ると効果的だと思います。
サロンワーク中にチューブタイプのクリームだと蓋を開けるのが面倒だったりしますのでポンプ式のクリームがオススメです。
マイクロバブルでシャンプー
当社ではマイクロバブルのシャワーを採用しています。
シャワーヘッドを変えるだけのものや、marbb(マーブ)という特殊な機械でナノバブルという超微細な泡(炭酸の1/2000)を発生させる装置です。
マイクロバブルは髪や頭皮の汚れを落とすだけでなく、髪の薬剤の浸透を助ける効果も得られます。
お客様にとって嬉しい効果はもちろんですが、スタッフの手にもとても優しいです。頭皮や皮膚の汚れを落としながら保湿までしてくれます。
美容師は1日に何人もシャンプーしますので、マイクロバブルでの積み重ねは手荒れにとってとても良い環境と言えるでしょう。
肌が弱い方は、マーブがあるサロンを就職活動の1つの指標にするのも良いでしょう。
ドライヤーでも手が荒れる
ドライヤーによる乾燥も手荒れには天敵です。
シャンプー直後の乾燥状態の手にドライヤーの風で更に追い打ちのように手が乾燥します。
私は右手でドライヤーを持つことが多いので、左手の方が手荒れします。
ドライヤーの風で手が潤うおすすめドライヤー
私のドライヤー選びの基準は
- 風量が多い
- 温度が異常に高くない
- 乾かすたびに髪が潤い艶が出る
この3点です。
中でも乾かすたびに髪や肌が潤い、艶が出ることを1番重要と考えます。
髪の艶を出すのはブローの技術が高ければ可能ですが、潤いを出す最高峰のドライヤーは手荒れも起こしにくいのです。
スタッフの手荒れを守ることにとっても、お客様の髪を最上級に美しく仕上げるという観点からも、私の個人的オススメNo.1のドライヤーはリュミエリーナのレプロナイザーシリーズです。
2023年現在の最新版は27dPusという機種です。
レプロナイザーシリーズは他にも7dPlusや4dPlusなど数種類ありますが、数字が大きいほど最新機種です。
バイオプログラミングという独自のテクノロジーを使っていて、遠赤外線テラヘルツ効果で肌や髪が潤うのですが、最新機種の方が効果が高いといえます。
私も営業で使用していますが、普通のドライヤーで乾かすと手がカピカピした感じになって痛みを感じますが、レプロナイザーシリーズの7dPlus以降の機種は手の痛みは全く感じません。
美容師の手荒れ防止としても非常に効果が高いといえますので、手荒れしやすい方はぜひ使ってみてください。
パーマは手袋をして作業をしましょう
パーマ剤は基本的に手荒れを起こしやすい薬剤です。これを防ぐには手袋をして作業をする以外方法がありません。
私は昔から手荒れがひどかったので、薬剤系の仕事は必ず手袋をします。
ワインディングのマメロットもそうです。細かい作業を手袋してやるのは非常に難しいですが、私はかなり練習をしました。
これは練習して習得するしかありません。
手袋をしてシャンプーをするのも技術が必要です。手袋をしていても細かい技術ができるよう練習していきましょう。
ちなみにサイズ感が大きい手袋は使わないように、なるべく自分の手のジャストサイズのものを選びましょう。
中には手袋をして作業をされるのを嫌がるお客様もいます。理由は手袋しなきゃいけないような薬剤を私の髪に塗るの?と感じてしまうためです。このような場合はお客様に一言お断りを入れて、手袋を使わせていただくようにしましょう。
システアミンという薬剤
手荒れをしにくい方は、パーマ剤を素手で塗布する人もいます。私の知り合いで、縮毛矯正の1剤を素手で塗ると手が潤うんだよね、と言っている強者がいます。(私は絶対に無理です笑)
そんな皮膚の強い人ですら手荒れを起こしてしまう「システアミン」という薬がありますです。
パーマ剤にはシステイン、チオグリコールといったベーシックなお薬が主流ですが、近年コスメ剤のシステアミンが人気です。
私もパーマ、縮毛矯正の大半はこのシステアミンという薬を使います。
システアミンはコスメ剤なので、非常にパーマのかかりが柔らかく、髪質改善したかのような手触りになるのでお客様にもとても喜んでいただけるお薬です。
ただ、美容師の手荒れを引き起こしやすいというデメリットもあります。
理由は、システインやチオグリコールに比べてシステアミンは分子量が非常に細かく、髪への浸透もとても良いのですが、手にも吸収してしまうのです。
私の見解ですが、手荒れをしにくい方の特徴として、手の膜(油分)が厚いと手荒れしにくいようですが、システアミンはこの厚い膜も浸透してしまうほど分子量が細かいのです。
その分パーマや縮毛矯正は優しいパワーで綺麗にかかるという特徴があります。
私はお客様の髪のためにもシステアミン1択です。
システアミンはパーマ剤の中でも手荒れに注意が必要です。
自宅での手荒れ防止おすすめケア方法
自宅でのケアも手荒れには重要です。
自宅でも食器洗いなどをした直後にクリームを塗るのは営業中と同様ですが、水仕事をしていなくて、手が乾燥している状態の場合、そのままクリームを塗るよりも1度手を濡らしてからクリームを塗るのがオススメです。
イメージとしては、乾燥してカピカピの状態にいきなりクリーム(油分)を塗るのではなく、肌の内側に水分をたっぷり含ませるためにしっかり手を濡らし、(ぬるま湯を桶などに入れてしばらく手をつける)少しふやけた状態の手にたっぷりクリームを塗ります。
手荒れあるあるですが、乾燥してくると水を触るのが痛くて嫌になります。
ですが水に触った最初は痛いですが、しばらくすると乾燥している状態より濡れている状態の方が手荒れの痛みはありません。
水分が無いのに油分(クリーム)を塗っても保湿としては完璧ではありません。顔も化粧水をたっぷり塗って乳液で蓋をします。それと原理は同じです。
寝る前のケアはオロナイン
寝る前も必ず保湿してから寝るようにしましょう。
人によっては綿の手袋をした方がいいという人もいますが、私は余計に痒くなり、寝ている間に掻いてしまい逆効果でした。手荒れの程度にもよるので一度試してみて良いと思います。
寝る前につけるクリームはありとあらゆるものを試しましたが、私はオロナインがベストでした。昔ながらのベストセラーです。
香りは特別良いわけでもなく、めちゃくちゃ保湿されるわけでもないのですが、手荒れしている手にはとにかく使いやすいのです。
手荒れは治ったと思ったらすぐ再発する、のイタチごっこです。
オロナインは万能薬ですので、傷にもよいとされています。かゆみのある患部にぬっても良い感じですし、ちょっと乾燥してるところにぬるのも保湿されます。
他にもオーガニック系など様々なハンドクリームを使用しましたが、手荒れをしている状態ならオロナインのつかい心地に勝るものはありませんでした。
費用面でも高いわけではないのでたくさんつかっても罪悪感はありません。
手荒れが酷すぎて皮膚科に通ってステロイドをもらっていたアシスタント時代に、美容師辞めないと手荒れは治らないよ、といわれ通院を辞めてから私はオロナインを愛用し続けています。
まとめ
手荒れはおきてからでは遅いと私は思います。手が荒れてしまってから治すために皮膚科に行くというのは結局おなじことの繰り返しです。
予防することが大切で、様々なハンドクリームが存在しますが、何をつかうかよりどのようにつかうかがポイントです。
美容師の仕事はとにかく水(お湯)をよくつかいます。
ぬれるたびにすぐにクリームをぬれる環境があるかが1番大切です。
それはフロアマネージメントの一環としてとらえるべきです。なぜなら事前の準備が必要だからです。
手荒れがひどくなると爪の形にも影響が出てしまいます。ネイルケアやアートなども楽しめなくなってしまいます。
当社ではネイルアートはスタッフに推奨していますが、キレイな爪をして手もキレイであればお客様にも喜んでいただき、女性のお客様との会話にもつながっていきます。
せっかく楽しい美容師の仕事につけたのに手荒れが原因で辞めてしまうなんてもったいなさすぎです。
正しい知識をつけ、適切に予防ケアをおこなって手荒れを防止してください。
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