美容師のフロアマネージメントの方法と大切さ

フロアマネージメントが上手にできる美容師は、売上の高いスタイリストになることができます。

美容室のサロンワークで大切なのが、スタッフ同士がいかにしてチームワークよく仕事ができるか。

そのためにはフロアマネージメントのスキルを上げていかなければいけません。

この記事ではフロアマネージメントの具体的なテクニックや、フロアマネージメントを通じて良いスタイリストになるために必要なマインドセットやテクニックを解説していきます。

-至田 健三(しだ けんぞう)-
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる

 

フロアマネージメントの全体像

美容師はお客様と1対1で仕事をするので、個の仕事と思われがちですが、スタッフ同士のチームワークはすごく大切です。

生産性において、美容師が1ヶ月1人で売り上げる金額で良い売上は80万円と言われています。(やり方によってはもっと上を目指せますが、ここでは一般的な美容室での例で例えます)

これが、2人だと200万円、3人だと320万円と伸ばしていくことが可能になるのです。

当然生産性が高い方が報酬も高いと言えるでしょう。

いかにしてフロアを回すのか。その概念こそがフロアマネージメントです。

フロアマネージメントの主な内容
・サロンの清掃
・予約確認
・道具の準備
・5分単位のタイムスケジュール
・お客様のご様子の確認
・仕事の優先順位(効率)を考える
・誰にどのタイミングでヘルプに入るべきか把握
・バックルームの洗い物
・タオルの洗濯等
・次の日の準備

フロアマネージメントは多岐に渡ります。

サロンの清掃

常に細かいところをお客様の目線に立って見ることが重要です。

例えば鏡。立って見ると綺麗でも、下から覗き込んでみると曇っていたりします。実際にセット面に座ってみると良いでしょう。

予約確認

予約の確認は随時行います。私はご予約のお客様は、3分のお待たせはギリギリ、5分はアウトとしています。

何時にどのスタッフの何のメニューのお客様がいらっしゃるのかを全て把握しておきましょう。

道具の準備

ご予約のお客様を把握できていれば、どのタイミングで何を用意しておけば良いかがわかります。

道具はもちろん、お客様が好きな雑誌など、事前に準備しておきましょう。タブレット雑誌なら、お客様の好きな雑誌の表紙を出しておくのも有効です。

タイムスケジュール

すべて5分単位で行動を予測するといいでしょう。

あと5分でカラーがタイムアップでシャンプーする、など5分刻みのスケジュールで全て考えておけば間違いありません。

5分以上お客様をお待たせしないようにしましょう。

お客様のご様子の確認

フロア全体の把握を常にし、お客様が暇そうにしてないか、雑誌を変えるタイミング、お飲み物が必要か?などお客様のご様子を常に把握しましょう。

優先順位の確認

仕事の優先順位を考えましょう。

今タオルを畳む必要があるのか?シャンプーを待ってるお客様がいるのにバックルームで洗い物をするべきか?など仕事には優先順位があります。

1番はお客様をみる、フロアの状況です。

ヘルプ

3人のスタッフで、4人のお客様を回すとします。

必ず1人お待たせしてしまう状況において1人のお客様がずっと待っている状態はよくありません。

誰にどのタイミングでヘルプに入るべきかを全員で考え、協力しあわなければいけません。

3人のスタッフが同じ認識でフロアマネージメントをしなければいけないのです。もしくは1人指示役のリーダーが常に指示を出すのも有効でしょう。

バックルーム

バックルームの洗い物もしなければいけないのですが、フロアから死角になっているサロンもあります。

フロアを見ながら洗い物が出来る構造のサロンなら良いのですが、フロアのお客様や予約の把握が非常に重要になります。

常にフロアのお客様の数、全てのお客様の次のメニュー、あと何分でシャンプーか、など状況把握したうえで洗い物をしていきましょう。

サロンによっては使ったものは自分で洗いましょう、と決められているサロンもあると思いますが、そこはサロンのルールにしたがってください。弊社ではフロアが完全優先です。

タオルの洗濯

客数の多いサロンでタオルがレンタルではない場合、タオルの洗濯は重要です。

タオルが足りなくなるのはNGです。干すのは営業終了後で大丈夫ですが、洗濯機は随時回っているか確認しましょう。

次の日の準備

営業終了前に翌日の準備等できるところはやっておきましょう。

営業終了時点で翌日の準備、シャンプーや薬剤のケースへの補充、汚れた箇所の掃除を終わらせておく。これを営業終了の前にいかにして効率良く出来るかです。

こういった雑務は美容室では非常に重要な仕事です。これを効率良くできないということは、要領が悪いということになります。

フロアマネージメントができないと、休憩が取れない、帰りが遅くなるといったことにもつながります。

常に効率良くお店を回すことができれば、美容師の労働環境改善にもつながるのです。

フロアマネージメントとはそれほど重要なことなのです。

フロア全体を把握する方法

予約状況の把握

フロア全体の状況を常に把握するには予約を全て頭に入れることが大切です。

誰が何時に来るのか、メニューは何なのか、担当は誰か、お客様の好みや注意点、まずはこれらを把握することです。

予約情報が全て把握できていれば、5分単位でフロアの流れを見るようにします。

逆に予約の把握ができていないとフロアマネージメントは全くできません。(予約制のサロン、高単価を目指すサロンでの話になります)

予約の把握ができれば全体の流れが見えてきます。

あと5分でシャンプーだからこのタイミングで洗い物をしよう、とか次のお客様がくる前に休憩に入ろう、などそういった流れも掴めるようになります。

整理整頓

予約情報を把握するには、フロント周りの整理整頓がとても大切です。フロント周りはさまざまな書類や伝票などで散らかりやすい場所です。

常に整理整頓を心がけておきましょう。

自分のロッカー、バックの中、財布の中を常に整理整頓しておくことも非常にオススメです。

プライベートから自分の立ち振る舞いを見直し、整理整頓が常時できていると、仕事においても散らかってることが気になってくるでしょう。

普段からの所作が仕事にも現れますので、今から自分の立ち振る舞いを確認してみてくださいね。

常に予測する

大切なのは、その場で起きていることで状況判断するだけではなく、何分後にどうなるかを常に予測することがフロアマネージメントにおいては重要なのです。

隙間時間のやることリストを作成しましょう

普段から頭で考えて仕事することが忙しい時のフロアマネージメントに繋がります。空き時間にぼーっとするか活用するかで1日の充実感が全然ちがいます。

隙間時間を有効活用するにはあらかじめ作業を明確化しておくことが大切です。

・空いた時間で普段できない掃除
・SNSの発信やブログ作成
・在庫整理
・売上分析

これらをリスト化し、管理すると良いでしょう。

スタッフ同士のコミュニケーションもこういった時間にできると良いです。全てやり尽くしたら営業中に練習をするのも良いでしょう。

空き時間の管理も立派なフロアマネージメントの一種です。

どんなに暇なお店でも雑務をこなして隙間時間を自分たちで作って、そこで練習をするって、よほどフロアマネージメントが優れていて、タイムスケジュール管理がしっかりできないとやれません。

効率の良さは、普段からよく考えて行動していれば必ず身につくものです。

2人のお客様を同時に入客する方法

客数を伸ばすことが大事

売上は単価×客数です。スタイリストデビューして、最初に客数を伸ばすことの方が大切だと私は考えます。

なぜなら、まずはたくさん経験することが大事だからです。

2人同時に入客できるスキルがあれば飛躍的に数字が伸びるでしょう。

2人同時入客をするには、アシスタント時代においてフロアマネージメント能力が極めて重要です。

他の人に積極的に任せる

1人で同時のご予約のお客様を2人カットとなると話は別ですが、カラーのメニューだったり、ヘルプの方にやってもらえる技術とスタイリスト自身が自分でやらないといけないものに分類します。

自分にしかできないものは何かを考え、自分でなくても大丈夫なものをヘルプの方に任せるようにしましょう。

ちなみにご指名をいただいているお客様であれば、何をお願いできて自分がやらなければいけないものは何なのかを考えやすいのです。

私のお客様で白髪染めで、後ろは他のスタッフに塗ってもらっていいけど、生え際は担当がやってほしいという方がいらっしゃいます。

この方のカラー塗布は、最初に生え際だけ私が塗って、後はヘルプの方にお願いをするようにしています。

このように最初から情報があるお客様であれば、2人と言わず3人同時でも問題ありません。

大切なのは3分以上お客様をお待たせしないことです。

今いるすべてのお客様の気持ちを考えよう

2人同時入客の際は常に2人のお客様のことを考えるようにしましょう。

同時にフロアに自分の担当のお客様が2人いらっしゃるので、1人は楽しそうに話して、1人は無言というのもよくありません。

常にお客様の気持ちに立って考え、自分がお客様にどう思われているのかを冷静に判断し、同時に物事を考える能力が必要です。

お客様によっては忙しい美容師に担当してもらえてる、といったブランド価値を感じてくださる方もいらっしゃいます。

美容師の価値を決めるのはお客様です。

人気のある美容師は忙しい、というのはお客様も理解してくださっています。

フロアマネージメントを駆使して価値ある美容師を目指しましょう。

失敗しないフロアマネージメントの考え方

フロアマネージメント能力がある方で、注意が必要なのが、自分がやりたい仕事を中心にまわそうとする人です。

アシスタントは練習が進むにつれて入客できる技術が増えていきます。

入客できる新しい技術が増えるとやれるチャンスがあれば入客したいものです。

フロアマネージメント力がある人は、どうやってまわせば自分がやりたい技術に入れるかを計算することができます。

そういうまわし方をしていると、スタッフで気づく人が必ずいます。そして「あの人は自分がやりたい技術のために店をまわしてるよね」といったトラブルに発展するのです。

これは私が見てきた中でフロアマネージメントで1番多いトラブルです。

裏を返せばよく見えてるので、能力が非常に高いと言えるのですが考え方がよくありません。

考え方の方程式はこちらの記事も参考にして見てください

フロアマネージメント力が高い人はその能力で人に貢献するという気持ちがとても大事なのです。

良きプラスの考え方で能力を最大限に出すことができれば人からの人望も高くなります。

まとめ

フロアマネージメントは全ての人が完璧にできるようになるわけではありません。むしろ特殊な能力といって良いでしょう。

リーダーになりたい人や、自分でお店を開きたい人、業務委託でやりたい人など美容師として上を目指したいと思っている人には必須能力です。

私は弊社の面接の際に、将来どうなりたいのかを聞きます。

答えはさまざまですが、美容師として大成したいという希望を持った方にはフロアマネージメントをしっかり覚えるようアドバイスします。

美容師は職人気質になる人が多く、ヘアースタイルをデザインすることが楽しい職業です。

大半の方がデザインに特化していく業界において、マネージメントという方面に興味が沸かない人が多い印象です。

「マネージメント」とは「管理する」という意味になりますが、ある一定の収入より上を目指すには欠かせないのです。

「管理する」ことにおいて数字や目標管理など、マネージメント範囲は多岐に渡ります。

その序盤として美容師においては「フロアマネージメント」が第一歩になります。

アシスタントのうちにフロアマネージメントの能力をつけることができれば、最終的には管理職やオーナーになった時にその能力がかなり役に立ちます。

ぜひこれを読んでからフロアマネージメントを意識してサロンワークに望んでみてください。

 

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