美容師が稼働時間を短くするにはどうすれば良いか

美容師の拘束時間の長さは必ず解決できる問題です。

私が美容師の業界に入った2000年初頭、勤めていた美容室は月7日休み、繁忙期は6日休み、営業時間は9時から19時の10時間営業で休憩30分。営業後2時間の練習時間で、帰りは21時半〜22時くらいでした。そのころの美容師業界は似たような環境が多かったと思います。

2023年現在、弊社では完全週休2日制、営業時間10時から19時の9時間営業、休憩あり、有給休暇法定通り。練習会は朝の8時15分から9時30分、夜の拘束は原則無しです。

私はスタッフには時間もお金も豊かになって欲しいと考えていますが、今よりさらに条件(給料や労働時間)をよくしていくにはどうしたら良いか。

会社は利益を出さなければいけません。利益がなくなり、キャッシュが0になった時に会社は倒産します。

利益を最大化し続けられればさらに良い条件を出すことが可能だと考えています。

美容師が稼働時間を短くするには会社の利益を上げることが必要です。利益を上げながら稼働時間を減らすにはどうしたら良いか。

私は経営者という立場ですが、サロンワークも週に5日は出ています。プレイングマネージャーの視点で考えてみてみました。

-至田 健三(しだ けんぞう)-
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる

 

効率の良い練習会

美容師には練習会が欠かせません。練習によってはムダなもの、そうでないものがあると私は思っています。

美容師がスタイリストとして活躍するには美容学校のカリキュラムでは不十分で、教育系サロンで現場の技術やコミュニケーションを学ぶ必要があります。

スタイリストデビューしてからも更にお客様に喜んでいただくには、技術、人間性、コミュニケーション力などを強化する必要があります。

私がアシスタントだった2000年〜2002年のころは、スタイリストデビューまで3年くらいが平均で、5年以上アシスタントだった人もいます。

私は早くスタイリストデビューしたかったので、帰宅後も自主練したり、休日も練習をしていたのでスタイリストデビューは2年4ヶ月でした。

2023年現在、弊社ではスタイリストデビューまで2年と定めています。全ての方ではないですが、2年以内にはお客様を担当してもらっています。

業界的にも2年以内にスタイリストデビューとうたっている美容室が増えている印象です。

これにはさまざまな理由がありますが、弊社の事例で紹介していきます。

無駄な練習をしない

私がアシスタント時代、昇格テストが月に1度でした。人数もアシスタントだけで2、30人いたので随時テストをするのがスケジュール的に難しかったのもあります。

テストが月に1度しかないと、もうちょっとで合格なのに不合格であと数回練習すれば大丈夫そうな技術も更に1ヶ月練習しなければいけませんでした。

私はそのムダな時間が嫌だったので自宅で復習してましたが、弊社ではできる技術はその場でテストをし、どんどん先に進めるようなシステムをとっています。

そもそもその練習は必要か

さまざまな考え方がありますが、カラーの塗り方などウィッグ相手に1~2ヶ月毎日練習する必要はないのでは?と私は思っています。

お客様にとって不備がない程度にできるようになれば、スタイリストのヘルプを一緒に入り、バックセクションから経験していけば必ず上手くなります。

ただし、ヘルプで一緒に入客させていただいた際にスタイリストにアドバイスをもらわなければいけません。

営業中に空き時間があれば練習したりもします。ウィッグ相手にすることだけが練習ではなく、アシスタントにとっては営業そのものが練習会の1つととらえれば効率が良いのでは、と私は思っています。

もちろんお客様は練習台では決してありません。

ヘアーデザインを作る上で絶対外せないポイントとそうではないところがあります。

例えば白髪染めは、生え際とトップの目立つところがとても大事で、バックセクションは見えない部分なのでそこまで重要ではありません。

そこをヘルプの方に一緒に塗ってもらえればウィッグ相手に練習するよりよっぽどスキルアップになるのです。

私はアシスタント時代の練習で大事なのはベーシックだと思っています。

カラーなら塗る姿勢、ハケが頭皮に当たって痛くないか、塗る順番がどうしてそうなのかの理論が大事で、髪質に合わせての塗布量だったり毛質に合わせた応用は経験することが大事だと思っています。

そういった応用が完璧になるまで入客できないシステムだとデビューまで時間がかかってしまいます。

そうなれば長い時間練習をすることになり、稼働時間の増加につながるのではないでしょうか。

ただこれは教える側も責任感をしっかり持ってやらなくてはいけません。

任せて良い技術とそうでないものの判断や、やらせっぱなしにしないでとことんフォローしバックアップすることが重要です。

教わる側も感謝の気持ちを忘れずに謙虚に教えていただくという意識で望まなければいけません。

つまり、スタッフの関係性がとても重要ということです。

効率の良い練習カリキュラムを実現するには、教える側も教わる側も人としての考え方をプラスにして、人に感謝の気持ちを持ち、互いに豊かになろうという心が重要になるということです。

プラスの考え方
常に前向きで、肯定的、建設的である。
みんなと一緒に仕事をしようと考える協調性を持っている。
真面目で、正直で、謙虚で、努力家である。
利他的でいつも他人を思いやる気持ちがあり、感謝の心を持っている。
善意に満ちていて、思いやりがあって優しい。
(参考文献 「考え方」著稲盛和夫)

練習は朝の短時間で集中する

弊社では練習会は営業前の1時間15分と定めています。夜は19時の営業を終えたらそこからはプライベート時間です。

これには理由があります。学びの時間は朝が効率が良い、と考えているからです。

営業が終わってから毎日練習となると、疲れているので頭に入っているようで入らないケースがあります。

朝に学べると、そのまま営業で使える技術や知識もあり、その日に実践ができる。学んだこと(インプット)を営業ですぐ実践(アウトプット)することにより、身につくのが早くなります。

練習が夜だとすぐに実践ができないので、すぐに身につかなかったり、繰り返し練習する必要があります。

脳科学者の茂木健一郎さんも朝活や、脳のゴールデンタイムについて発信しています。

夜はプライベートの時間

夜の時間はプライベートな時間と捉えられると気持ちが違います。プライベートな時間に何をするかは自分次第です。

営業終了後は心身ともに疲れていますから、そこでしっかり練習をするとなると疲れてしまっていて身になりづらいですが、会社の決まりなどでやらなければいけない練習会より、自分のプライベート時間と認識できる場合の練習では質がまるで違います。

プライベートな時間に練習できるモチベーションの方は是非自らストイックにやってみてください。

夜は人に会う時間も大切

夜は友達とも飲みにいきたいですよね笑

私はとにかく1日でも早くスタイリストになりたかったし、当時の練習カリキュラムで進んでいくしかなかったので自宅でも練習していましたが、人に会う時間も成長には大切な時間です。

同業の美容師さんと会って仕事の話をしたり、違う業界の友達と会うのも刺激になります。

友達と飲むことで交友関係がひろがります。そういった情報交換の場に行くことも美容師として重要だと私は思っています。

私は営業後の時間にスタッフと一緒にジムに通っています。お酒だけではなくスタッフと一緒に体を動かして、一緒に日々の反省をしています。

筋トレやボクシングなどで体を動かしながらちょっとした話などをするのもオススメです。

ただ、モデルさんなどを呼んで練習する場合は時間もかかりますし、モデルさんも朝にアポを取るのが難しいので夜になることもありますが、基本的な練習会は朝がオススメです。

マンツーマンの練習

アシスタントの基礎の練習は必ずマンツーマンで練習を見ています。

理由は、基礎はちょっとしたコームの入れ方やヒジの角度によって変わります。

それを自主練で習得させるのは難しいからです。

常に見て、まちがっていればその場で修正したり、できるだけその様子を動画で撮っておくようにしています。

基礎がしっかり覚えられないと時間がかかってしまい、応用が上手くいきません。このような練習環境もアシスタントの成長のスピードアップのコツです。

特化型美容師とオンラインでの学び

応用はインスタやTikTokなどのSNSや、オンラインサロンなどでも十分学べる環境があります。オンラインでの学びも活用すべきです。

移動中など、どこでもネットを通じて見れるのはとても効率が良いと思います。情報も数多くあります。

自分がどんな美容師になりたいかが明確であれば、必要な情報も限定されますので、目標を持つことはオススメです。(当メディアは美容師の社会的地位向上のためのメディアです。ぜひブックマークをよろしくお願いいたします)

メンズ特化スタイリスト、カラーリスト、売上を上げるスタイリストなど、自分が向かいたいところを明確にし、フォローする人や加入するオンラインサロンを選ぶと良いでしょう。

全てをこなせる美容師を目指していくとやることも膨大に増えていきます。まずは特化した美容師を目指すとやることがある程度絞られます。

ニーズがある分野を磨きその都度それを勉強していくと、トレンドが大体12年くらいで一周してきます。

私が美容業界に入った2000年ごろの流行りは、ウルフ、ブリーチ、軽いスタイルで、そこからボブ、重め艶髪、ふんわり巻き髪系などトレンドは移り変わっていきました。

やることがその時代によって常に明確であれば長くダラダラと練習する必要はありません。

空いた時間を他のことに充てた方がよほど自分の視野も広がり、美容師としても成長できるでしょう。

また特化型美容師は単価も上げやすいと言えるでしょう。単価が上がれば稼働時間も短くすることは可能でしょう。

単価を上げ、予約制にする

単価が高ければ客数に依存しなくて良い

単価の高い仕事ができる美容師は、お客様にとって唯一無二の存在と言えるでしょう。特化型美容師もその1つと言えます。

お客様がなりたいイメージだったり、空間を提供してくれる美容師は、お客様にとって欠かせない美容師です。

反対に誰でもいいと思われている美容師は、他に替えがいるので、お客様にとってその美容師に担当してもらう理由がありません。

そうなると、お客様も皆さんお忙しい人ばかりですから、自分の都合で空いた時間で美容室を探します。

価格を高く設定しても来てくださるということは、それだけお客様にとって担当してもらいたい理由があるのです。

地域相場のカット代よりも1,000円〜2,000円ほど高くいただけてる美容師で、指名数も多く結果の出ている美容師でしたら、お客様の方からお休みでも違う日を探してくださいます。

お客様との関係性が強いのは単価の高い美容師かと思います。

関係性が強いということは、お客様にも美容師の事情というのを理解していただきやすいので、美容師側のイレギュラーなどによる予約変更を受け入れていただける可能性も上がります。(もちろんご予約の変更は美容師側から容易にすることではありません)

お客様にとって代えの効かない美容師は、お客様が美容師に都合を合わせてくださいますので、ご来店時に次の予約をいただく次回予約制度や、完全予約制度にし、単価を最大に上げさせていただければ売り上げもほぼ確定してきますので、仕事以外の予定も立てやすくなります。

そうすれば、私は美容師が営業時間という概念に縛られる必要がなくなり、稼働時間の減少につながるのではと思います。

どのくらいの収入が欲しいかや、売り上げをいくら上げたいのかの目標数値にもよりますが、技術売り上げ平均で200万円ほど指名のみで売り上げれば自由がきくのかと思います。

年収1,000万円以上など、さらに大きな数値を目指すのであれば相当な努力は必要です。

美容師の仕事は練習すればするほど上達しますので、とことん上を目指したい人はプライベートの時間を使ってセミナーに行ったり行動しましょう。

もっとも、そこまで結果を出す方のマインドは、常に仕事のことを考え行動し、仕事の時間も拘束されている概念がなく、自由に動いてる中に仕事の時間が多くなっている、そんな感覚の方が多いでしょう。

大切なのは、自分がどうなりたいかで、環境や人のせいにしない、ということです。

自分としっかり向き合っていきましょう。

仲間と働く

美容師の仕事はお客様を担当することだけではありません。サロンの清掃や材料の管理などさまざまです。

特に清掃は1人でやっていると見落としてしまうところがあったりして思ったより大変です。サロンが汚れているとお客様満足度にも影響してきます。

また、スタイリスト1人で全てやらなくてはいけないサロンはお客様を掛け持ちすることが難しくなります。

1人で2人同時に施術するのは大変ですが、3人のお客様を2人で担当するのはうまく回せれば問題ありません。

協力しあえる仲間と働くと、お互い空いている時にヘルプすることができ効率も上がります。イレギュラーなどでお休みしなければいけない時なども、信頼ある仲間に代理で担当してもらえれば大切なお客様を安心して任せられます。

仲間とともに働くというのは、様々な価値観の中で一緒に時間を過ごすことになりますが、これを面倒だと思ってしまう人は多いのではないでしょうか。

人の価値観に共感するのはとても大変なことです。ストレスもたまることも多いでしょう。

ちなみにアドラー心理学という本の中では、ストレスとは対人関係以外に理由はない、とはっきり述べられています。

ですが、拘束時間を限りなく短くするには人と一緒に働くことです。

それも、ただ人と働くのではなく、仲間意識を持って働くことが大切です。

そのためには自分の人間性を高め、仲間を思いやり、人の価値観を認め合うことがとても重要です。

美容師にはアシスタントという役割のかたもいますが、全員がアシスタントのままでいいと思っているわけではありません。

むしろスタイリストになりたいと思っている人の方が多いのではないのでしょうか。

アシスタントがいないサロンにおいて、自分勝手なスタイリストばかりではなく、助け合うことにより効率化を強化していくことにより無駄を省くことができます。

まとめ

意味のない稼働時間の長さというのは社会的地位としても高いとは言えないと私は思っています。

ですが本当に高い結果を出すにはそれなりに努力の時間を積み重ねなければいけません。

1人で営業をすることも1つの選択肢ではあると思いますが、チームで結果を出していき、個人の目標はしっかり持ちつつ仲間と協力して自由に働く、そんなハイブリットサロンが私は1番強いサロンかと思います。

自分がどうなりたいかが1番大切なので、自分自身と向き合い、自分にとって1番良い働き方は何なのかを考えてみましょう。

 

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