美容師のカルテの記載方法と施術別の活用ポイントなど

指名客が多くいる美容師の特徴の1つとして、カルテを詳細に記載できることが挙げられます。

施術の記録を残したり、お客様との会話から注意点など、カルテに記載することは多岐に渡ります。

また、スタッフとの情報共有という面で、誰にでも伝わるようなわかりやすく記入することも重要です。

この記事では美容師のカルテの重要性やポイントなどを解説していきます。

-至田 健三(しだ けんぞう)-
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる

 

カルテが必要な美容室とは

カルテはどのサロンにおいても重要です。

特に中価格帯以上(平均単価¥6,000前後)のサロンにおいてはお客様のニーズも多様化していきます。

・お客様の好みの把握
・お客様のニーズを再現するための技術プラン
・お客様の生活におけるヘアースタイルの制限(仕事や学校の把握)
・技術の提案(年間計画までできるとgood)

これらの情報は最低でも必要になります。

ここで中価格帯と言っている理由としては、時間生産性6,000円が良いとされている美容業界において、例えば1,000円カットでは1人10分で施術します。

10分では上記4つの項目を把握するには時間が足りなさすぎるため、中価格帯以上と定義しています。

これらを全てのお客様分のデータとして記憶だけでは把握しきれませんので、カルテに詳細な記録を残しておくことが重要になるのです。

カルテは美容師の財産

長年美容師をしているとカルテの情報も膨大な量になっていきます。

お客様が再来していただいた時にカルテに詳細な技術記録や提案した内容、お客様の好みなど記載があれば、必ず次の施術の際に役に立ちます。

お客様からしたら、前に話した会話や、前回すごく気に入った施術内容を正確に再現してもらえたら嬉しいのです。

過去のお客様のケースが、別のお客様と同じケースということもあります。その際にそのカルテのデータが活かされることもあるのです。

カルテの詳細な記録は美容師自身の成長記録ともいえます。この膨大なデータこそ美容師の財産といえるでしょう。

電子カルテを活用しよう

弊社では電子カルテを採用しています。カルテをしっかり活用している美容師は情報量が膨大になっていきます。

その膨大な情報を紙のカルテで保存しているととてつもない量になってしまい、カルテがしまいきれません。

電子カルテの場合、そのような心配は一切なく、タカラのサロンポスのようなクラウド型のポスツールの場合、サーバーもメーカー保有の超大型のサーバーを使用できるので、大量のデータ量になっても問題ありません。

電子カルテの活用術

弊社ではタカラのサロンポスを採用しています。

タカラのサロンポスでは毎回お客様のビフォーアフターを写真に記録することができます。

これがまたお客様に「前回と同じ感じで」と言われた際にご好評いただいています。

美容師的にも「前回と同じで」と言われた時になんとなく1ヶ月だから1cmくらい切ります、というより前回の写真の通り切れればすごくイメージしやすいのです。

カットやカラーなどカテゴリー別の記録も記載でき、今までのカラー履歴などもすぐに出せるのもとても良いところです。

カルテを記載するタイミングと内容

カルテを記載するのは施術直後がベストですが、お店が忙しいようであれば遅くとも当日中に行いましょう。

理由は前日の施術を詳細に思い出すのは難しいからです。

簡単な内容であれば後日でも良いのですが、カルテはより詳細な内容の記載が重要です。

できるだけ詳細に正しい情報を記載しよう

できる限りカルテの情報は誰が見てもわかるよう細かく記載することが大切です。

・前回の施術日
・お客様の希望(スタイルや悩みなど)
・提案内容
・施術の詳細(薬剤やカットの内容)
・お客様のヘアーにまつわる制約などの詳細

これらの記載は基本情報です。

加えて今後の提案やお客様との会話などもできるだけ詳細に記入します。

特に会話に関しては、お客様の希望の度合いなど細かいニュアンスで読み取れたものを記載できるとより良いでしょう。

理由としては美容師が捉えた希望のニュアンスと、お客様のニュアンスがずれてしまっていることがあるからです。

細かい会話の内容を記載すると、次回のご来店時にそのニュアンスのベースでお話ができるとカウンセリングがとてもスムーズになります。

私のカラーのカルテ情報の一例です↓

これが何度も担当させていただいている常連のお客様だとカルテを見なくてもわかっていますが、なるべくカルテは記載しておくとベストです。

カルテは他のスタッフとの情報共有という役割も持ちます。自分さえ分かっていれば良いのではなく、サロン全体でお客様を管理する必要があるからです。

カラーの場合

  • 薬剤名
  • 混ぜた場合の比率
  • グラム数
  • 塗り方
  • 放置タイム
  • ビフォーの状態から染めたあとの結果

カットの場合

  • 仕上がりイメージ(写真がある場合でも記載)
  • 何センチほど切ったのか
  • レングス
  • 前髪の感じ
  • 使用の道具(ブラントシザー、セニング%、スライドシザー、レザーetc)
  • 量感

パーマの場合

  • 使用薬剤(処理剤含む)
  • ロッド種類
  • 回転数
  • 放置タイム
  • 2剤種類と放置タイム

トリートメントの場合

  • 使用薬剤
  • 放置タイム
  • 揉みこみの仕方などテクニカルな記載

このような細かな情報を1日に何人もこなしていると誰に何を言ったか分からなくなってしまいます。

万が一、別の方のカルテに間違えて記入してしまったら次の時に「それ私じゃありません」と言われてしまいます。その一言は絶対にお客様に言わせてはいけないのです。

カルテをスタッフと共有する

朝礼で予約のお客様情報の共有をするのにも、カルテのより細かい情報が必要です。

スタイリストが個々にカウンセリングで使うのはもちろんですが、フロアマネージメントの観点でも活用していきましょう。

・好きな雑誌
・シャンプーなどの力加減の好み
・お客様の言葉遣い
・時間に厳しいお客様
・暑がりか寒がりか(膝掛けなどの有無)
・会話が弾む方、そうでない方
etc

お客様からしたら、全スタッフが自分の好みを把握してくれていて、気の利いたお声掛けをみんながさりげなくしてくれたらとてもVIP感を感じるのです。

お客様にとって自分がこの店のVIPだ、と感じていただけるのはこの上ないサービスなのです。

そのようなVIP戦略は少子高齢化社会においてとても重要な戦略といえます。

その上でカルテを詳細に記録し、全スタッフで共有することが重要な鍵となるのです。

まとめ

カルテは美容師にとって重要なツールの1つです。

カルテを最大限活用できている美容師は得てして指名数が多いものです。

長年担当しているお客様でさえ何かしらの変化があります。その変化とともにカルテの情報も随時更新していかなければいけません。

逆にカルテにあまり記載することがない美容師はお客様の変化を見逃している可能性があります。

そんなことでは毎回ご指名いただくことは決してできません。

まずはカルテに詳細な内容を記載し、その次の施術にて最大限生かせるようなカルテを構築してください。

 

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