私がアシスタントだった2000年初頭、美容師がスタイリストに昇格するまでの平均は大体3年くらいでした。
2023年現在では、ビューティーキャリアさんによると、やはり3年かかるのが1番多く、次いで2年以内が多いそうです。
ビューティーキャリアの取引企業100店舗を調査したところ、約60%のサロンでは3年と回答を得られました。続いて、2年と答えたサロンが22店舗、4年が6店舗、1年が2店舗、同じく5年も2店舗でした。本調査より、スタイリストデビューまでの平均勤務年数はおよそ3年だと言えます。
うちの美容室では2年以内にスタイリストデビューができる環境を整えています。
そのためにどのような練習会をすれば良いか?弊社の実例で考えてみました。
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる
美容師の練習会は1日何時間必要か
結論から言えば、いわゆるベーシック(基礎)練習はやればやっただけ上手くなります。ですので何時間でもやったほうが良いでしょう。
ですがやたら長い時間やり続けても集中力が続かないことが多く、営業終了後などは疲れもあるので長くても2時間程度が限界かな、と思います。
ただ、モデル練習、なかでもブリーチ練習や縮毛矯正のモデル練習などは時間がかかるので例外です。どうしても時間のかかるケースは営業後の2、3時間とかもあります。
練習会は朝がおすすめ
弊社では営業開始前の朝、週4回の練習を行っています。時間は8時15分から9時半までの1時間15分です。
朝にやる理由としては、学びは朝が良い、という基本に乗っ取っています。
本も朝に読むと効率が良いとされていて、インプットとアウトプットをセットにすることで身に付きやすくなります。
営業前に練習することにより、その日の朝にやった練習がそのまま営業で役にたつケースもあります。
限られた短い時間でスタイリストをデビューするには、営業での実務経験はとても重要です。
朝の練習会にて新たな知識をインプットし、営業で実際活用する(アウトプットする)。
これが夜の練習が中心だと、一度寝てから次の日の営業になりますので効率があまりよくありません。
アウトプットがセットになっていないとなかなか覚えることができないからです。
先輩に気に入られた方がいい
2年以内にスタイリストにデビューするには現場経験は非常に大切です。
その際にスタイリストに大事な仕事を任されるアシスタントにならなくてはいけません。
スタイリストからしてみたら、普段の生活態度が悪いと良い印象にはなりません。
実例としては↓
・挨拶をしない(声が小さい)
・笑顔がない
・言い訳ばかりする
・愚痴が多い
・自分のロッカー等の整理整頓ができてない
・バックルームなどに自分のゴミを放置する
・遅刻する
・サボりグセがある
・営業中しょっちゅうトイレに行く
こういった人は大体スタイリストに見破られます。
実際しっかりとした技術を持っていていざ大事な仕事を任せようと思っていても、「なんかやらかすんじゃないか?」「自分の大切なお客様に触って欲しくないな」など決断が鈍ってしまうものなのです。
そうなれば営業での経験数が少なくなってしまい、自分の成長にも繋がりません。
さらにいえば悪い実例の人は、自分のことしか考えない傾向があるため、人から信頼されないのです。
とはいえアシスタントがなかなか尊敬できる先輩スタイリストが必ずいる環境を選べるかといったらそうでもありません。明らかに上に立つ人が素行が悪いサロンは早めに見切る必要もあります。
そういった判断ができない、けどなんかおかしいと感じる場合は話のわかる人に早めに相談してみましょう。
数字があって明らかに素晴らしいスタイリストさんがいるサロンにおいては、仕事が上手でなくとも人間性が高く、可愛げがあって愛されるアシスタントは自分にチャンスとして返ってくるのです。
必要のない練習はやらなくていい
スタイリストデビューといっても、全ての技術ができないとデビューができないわけではありません。
カラー専門、髪質改善専門、メンズ限定、ショートへア専門など、専任性スタイリストでもデビューは十分可能です。
ちなみにサロンによってはそれを認めていないところもあるので、確認してみると良いとおもいます。弊社では推奨している事案です。
美容の技術の種類は多岐にわたります。
私は現場歴20年以上ですが、サロンワークをしていて、できるけどほぼオーダーのない技術などもあります。よく話題にものぼりますが、国家試験のローションセッティングなどはまさにその一例でしょう。
お客様からのニーズのない技術はあまり長く練習する必要はありません。
ただ基礎練習はしっかりしたほうが良いでしょう。
例えば、カットの技術においてワンレングスやグラデーションカット、レイヤーなどのベーシックは流行関係なくしっかり学ぶ必要があります。
また、スタイリングにおいてコテやストレートアイロンのスタイリングの前にブローをしっかり学び、髪の毛の特性をしる必要があります。
これらの理由としては、基礎となる髪の特性を知らないとアレンジをしてもその場しのぎの技術になってしまい、お客様がご自宅でサロンの仕上がりを再現できなくなってしまうからです。
サロンに来た時だけでなく、自宅での再現性を高めるにはベーシックの技術は必要です。
ベーシックが出来る程で、例えばメンズ特化スタイリストでデビューしたりするのは良いと思います。
どうしても流行などは変化がありますから、デビューしてから少しずつ新しいスタイルを練習すれば問題ありません。
全部できてからデビューだと3年とかかかってしまうのです。
テストのための練習にならないようにする
アシスタントにとっては、1つの技術が合格すればやれる仕事が増えるので嬉しいものです。
そういった感情は当然あるとは思うのですが、どうしてもテストに合格するための練習になってしまいがちです。
練習の目的はあくまでもお客様に喜んでもらう技術を身につけることです。
練習はウィッグでやることが多いと思いますが、ウィッグだとどうしてもパターンが決まります。
ウィッグは頭の形も同じ、毛質も毎回同じなので、そのウィッグでの練習が上手くなって技術テストに合格したとしても、お客様の頭の形や髪質はさまざまです。
工夫としては費用はかかりますが、同じメニューの練習をするにしても色々なウィッグを用意すると良いでしょう。
カラー塗布の練習にしてもブローにしても色々な髪の質などで練習できれば営業に直結する技術を身につけやすくなります。
ぜひ試してみてください。
オンラインでの学びのススメとコツ
オンラインサロンやYouTubeなどでもカットのレッスン動画などのコンテンツはとても多く、オンラインでの学びはぜひやった方が良いでしょう。
20年以上のキャリアの私でも、オンラインの技術動画は今でも定期的にチェックしたりします。
その時に私が注意していることは、学びのあった動画は必ず練習なりで実際に試してみることです。
学びはインプットとアウトプットがセットになって、初めて自分の能力になります。決してオンライン動画を見て知識を得たからって、もう自分はできる、と思ったりしないほうがいいでしょう。
オンラインの動画をみただけではただインプットしただけなので、実際にやってみるとできないものです。
技術動画でなく、知識の動画も同じことがいえます。
知識系動画をみた後ぜひやってもらいたいのが、ノートに書き出す、スマホのメモ機能に記入する、人に話すなどのアウトプットをやってみてください。
これがただ動画をみただけではそのうち新しい情報が入ってくれば、前のインプットをすぐに忘れてしまいます。
当サイトの記事全般も同じで、自分にとって役に立った!と思う内容であれば読んだあとに、人に話したりノートにメモしたりアウトプットをセットで行ってみてください。
オンラインでの学びのコツは、技術動画であれ知識動画であれ、必ず動画を見た後は自分の外に吐き出す作業をセットにしてやっていきましょう。
オフラインでのセミナーでの良い姿勢とは
オフライン、つまりリアルな外部セミナーなどは、必ず人が講師となってくれます。
その際には人として恥ずかしくない言動をし(挨拶をする、小汚い服装をしない、エチケットetc)セミナー開始30分前には会場に着くようにし、1番前の席で受講するようにしましょう。
教える方も人ですので、前のめりで聞いてくれて、上手になりたい!という姿勢で受講していれば必ず印象に残ります。そうなれば、個別に特別なことを教えてくれたり、より有益な情報をもらえるチャンスが増えるのです。
例えばカラーやパーマの技術セミナーで、薬の待ち時間などで雑談タイムなどがある場合があります。
そういった場合、他の受講者が雑談していても、その時に講師やそのアシスタントのかたなどのもとに行き、普段のサロンワークのリアルを聞き出すのです。
ぶっちゃけ失敗談だったり、ちょっとした裏技だったりそういった時こそ実際のサロンワークで使える知識だったりがゴロゴロしています。そこでの会話をしっかり覚えておくようにしましょう。
オフラインのセミナーはその後の懇親会などがあれば、そのときこそ大切にするべきです。
つまりセミナー中は割と固いことを伝えられるので、もっと砕けた雰囲気の中にこそヒントがあるということです。そこでの情報をキャッチするため、受講する姿勢が大切なのです。
講師のかたとSNSでつながる
セミナー終了後は必ず講師のかたのSNSフォローし、DM、もしくはメンションなどをしてお礼のメッセージを残しましょう。
そしていいなあと思った講師のかたのセミナーは複数回受講し、毎回同じ姿勢、お礼のメッセージを残すのです。
その後自分のSNSなどで自分の成長などを発信し、セミナーの成果などをメンションで報告できれば完璧です。
外部セミナーでここまでできれば様々な可能性が広がります。講師のかたには覚えてもらえるチャンスですし、毎回積み重ねれば次の時にも講師のかたにセミナー以上のことを教えてもらえたりします。
オフラインならではの人としての貪欲さでセミナーを受講してみてください。
まとめ
2年以内のスタイリストデビューは間違いなく可能です。
ですがそれは結局のところ自分次第なのではないでしょうか?
間違いないのは美容師スタイリストは簡単にはなれないということ。技術、人間性、髪の科学知識など、美容専門学校では習いきれないものが必要になります。
教わる側にとってどこで学ぶか、誰から学ぶかはとても重要ですが、サロンに入社する前から完璧な場所を探すのは難しいです。
であれば教わる姿勢をしっかり身につけ、どの環境にいても先輩スタイリストに可愛がってもらえるようにするのも早期デビューのコツです。
1日でも早く楽しいスタイリストライフを送れるよう頑張ってくださいね^^
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