美容師の視点から見た成人式の準備や注意点

美容師の1大イベントの1つ、それが「成人式のお支度

ヘアーセット、メイク、着付けが美容師の仕事で、毎年成人式に向けて準備をしていくのですが、1年以上前からご予約するお客様もいらっしゃいます。

成人式のお支度は、当日だけではなく、当日までにも準備や注意点などのポイントがあります。

実際に弊社で行っている準備や予約の取り方などを解説していきます。

-至田 健三(しだ けんぞう)-
・美容師歴24年/美容室2店舗の経営者
・10年連続グループ売上No.1
・最高月間指名売上200万円以上
・100名以上の美容師の育成に携わる

予約の取りかたは2段階

弊社では、ご予約は2段階で完結としています。

1段階目は電話などでの仮予約です。仮予約の時点ではお名前とお電話番号の確認、予約が何番目なのかをお伝えしています。

弊社の地域(東京都葛飾区)では成人式の式典が3部制になっていて、時間の確定がすぐには出せないので予約の順番から1番良い時間のご予約をお取りしています。

午前の部だと、ご予約のタイミングの遅いかたはスタートが3時とかになってきます。1番人気の時間帯の7時〜8時は最初にご予約をいただいたかたから予約をうめていくためです。

2段階目は前金をいただいています。前金を入れていただいたかたが本予約となり、成人式当月の1月に入ってからのキャンセルの場合、こちらの前金5,000円がキャンセル料になります。

前金制度を行っているのは、まれにお客様ご自身がご予約しているのを忘れていたり、直前のキャンセルなどのリスクマネージメントのためです。

カウンセリングは12月15日までに終わらせておく

カウンセリングは必ず事前に行います。

当日は予約の流れ上カウンセリングの時間はありません。事前にカウンセリングを済ませておく理由には、お客様にご用意していただくものもありますし、美容師もスタイルの研究、練習が必要だからです。

セットやメイクは普段のサロンワークでは決して多いメニューではありません。毎年特に成人式前は美容師も練習しておく必要があります。

・希望スタイルに必要なカットやカラーの確認
・着物の柄
・帯の雰囲気
・髪飾りと髪型の雰囲気
・メイクのイメージと色
・お着物の準備していただくものリストをお渡し
・お着物を事前にあずけるスケジュールを確認する

成人式のカウンセリングはカットなどの通常メニューと違い、アクセサリーやメイクの使いたい色など前もって準備しておかなければいけないものもあります。

やりたいヘアースタイルの長さが足りないことはあることですが、逆に伸ばしすぎてできない場合もあります。そういった事案に対処するには、カウンセリングは12月15日頃までに済ませておくのがセオリーです。

また、12月は美容師にとって1年で最も忙しい月といえます。

特に15日あたりを超えてくると忙しさに拍車がかかるものです。

通常のサロンワークに影響が出ないよう、成人式のカウンセリングは12月15日までに終わらせておくことをオススメします。

着物は3日前までに持ってきてもらおう

お着物は当日にもってきていただくのはNGです。

お着物は事前にシワ伸ばしをしなければいけません。前日にはお着付けの先生が現場入りをし、アイロンがけなど当日の準備をします。

また、よくある事案が着付けの際の小道具が足りていないということです。

そういったイレギュラーに対応できるリミットは、成人式当日から遅くても3日前までにお店にお着物をもってきていただくことです。

お着付けの先生が当日足りないものを対処できる小物は大丈夫なのですが、極端にいえば肌襦袢がないなど、お客様にどうしてもご用意していただかないといけないものが多数あるのです。

お着物をもっていただいたら、その場でお持ち物を確認をするのですが、足りないものがあれば、当日3日前までであればお客様ご自身でお着物やさんなどにいってお求めいただくことが可能になります。

※事前カウンセリングにて持ち物リストはお渡ししていますが、それでも7割くらいのかたが足りないものがある印象です。当たり前の事案として捉えることが大事です。

お着付けをするのに道具が大切だということは、素人のお客様はわからないかたがほとんどだと考えるべきです。

そういったイレギュラーに対応するべく、お着物は成人式当日3日前までにお持ちいただくようにしましょう。

成人式当日の注意点

当日は今までの準備のもと、絶対に予約の時間に遅れてはいけません

また、朝が早いケースがよくあるのですが、お客様の遅刻もリスクの一つにしないといけません。(美容師の遅刻は言語道断ですので、前日は早めの就寝を心がけましょう)

成人式のお支度は、チームで連携していきます。

ヘアー担当とメイク担当が同時に施術を進行するのですが、前髪を作る際にベースメイク(ファンデーション)をしている時に前髪はピンでよけておく、マスカラやアイラインなどの細かい作業をする際は頭が揺れてしまうような面をキレイにするアップの作業などを避けることなど、各担当の意思疎通が必要です。

そういった注意点のもと決められた時間内にヘアーとメイクを終わらせ、決められた時間内にお着付けの先生に回していかなければいけません。

丁寧な仕事=ゆっくりといった概念は絶対的に捨てなければいけない注意事項です。

万が一、お客様が大切な成人式の式典に間に合わないということがあってはいけないのです。

まとめ

成人式はお客様にとって一生に一度の晴れ舞台です。そして何よりもお母様とお父様にとって一生懸命に育て上げたお子様の感動的な祭典です。

そういった素晴らしい機会に関われる美容師という仕事は誇らしいものであると同時に、責任が大きいお仕事でもあります。

昨今セットやメイクをやらない美容室が増えているのが現状で、美容室経営者としては正直売上に直結しにくい事業といえます。※需要が限られたシーズンのみで、定期的な売上が見込めないため。

ですが、美容師なら一度は成人式のお仕事を経験するべきだと私は思います。

毎回お客様が劇的に美しくなることに携われる幸せは、経験した美容師でなければわからないと思います。

弊社ではカットやブローなどのレギュラーのカリキュラム以外にセットやメイクをレッスンしています。

成人式のお支度をするためには練習が必要です。

ベーシックのストレートアップから、アレンジのくるりんぱなど、覚えなければいけないものも多いですが、やりがいはひとしおです。

美容師としてのやりがいを感じたいかたは、成人式のお支度をやっているお店で働くのも大きなステータスです。ぜひやりがいを得てください^^